最後の同期の面談が終わり、
休憩が30分与えられると
トイレ休憩や飲み物を飲んだりと
みんなリラックスしながら過ごしていた


『霞、顔色戻ったね。貧血かなって
 思うくらいかなり心配だったけど。』


やっぱり私そんなに顔色悪かったんだ‥


健康に気を使ってますなんて
そんな顔色で言ったら
そう言われちゃうよね。


『それにしても
 筒井主任カッコいいよね。』


ドクン


『あ!犬塚さんもそう思った!?
 すごく素敵でカッコいい人だよね。
 面談ドキドキしちゃった。』


大人っぽいユル巻きヘアの同期の
笹塚さんが菖蒲の声に前の席から
振り返り一緒に菖蒲と
筒井さんの話をし始めた



やっぱりみんなそう思うよね‥‥


スラッとした背丈と、
品のある綺麗な顔立ち。
声のトーンも落ち着いてて
スーツがとてもよく似合う男性だから
大学卒の私たちからしたら
すごく素敵に見えるんだと思う


振られちゃったけど、そんな人を
2年以上喫茶店で見ていたなんて
今思えば贅沢なのかもしれない


『彼女いるのかなぁ?』

『えっ?もう結婚してるかもよ?』


結婚!?


そうだ‥‥
なんでそんな大切なことを
考えなかったんだろう。


年齢が何歳かも分からないけど、
結婚しててもおかしくない。


こういうところが、子供なんだろうな‥


相手の気持ちや環境も考えれず
自分の気持ちを優先して
伝えたのだから、もしかしたら
呆れてるのかもしれない


ガチャ


『みんな元に席に座ってください。』


総務部の先輩と筒井さんが一緒に
会議室に入って来ると、
みんな慌てて自分の席に戻っていく


『では今から一月仮契約で働く部署を
 人事の筒井さんから1人ずつ伝えて
 いただきますので、呼ばれたら前へ。
 まずは安藤 陸さん。』


『はい!』


またあいうえお順だとすると、
もう次は私だ‥


みんなみたいに希望は書いてないし、
筒井さんと面談をして何処になったのか
気にならないわけじゃない


でもどこの部署でも、
真面目に取り組むことは変わらないから周りをよく見て頑張るって決めた


『続いて、井崎 霞さん』

「はい。」


少し緊張しているからか
深呼吸をしたあと
筒井さんの元へ歩いていく


『井崎さんは
 総務部の受付になりました。』


受付?
渡された紙を見ると、
課の受付かと思いきや、
所属場所に一階エントランスと
記されていた


パッと顔を上げて筒井さんを見ると、
少しだけ笑ってくれたようにも
思えたけど、一体あの面談で
どうしてここになったのか
理由が知りたい


『井崎さんは丁寧なお辞儀と綺麗な
 言葉遣いが出来る人なので、
 会社の顔となる受付で
 頑張ってください』