ピンポーン

「‥‥‥‥」

チャイムの音らしきものに、
ウトウトしていた私が目を開けると、
筒井さんの腕の中に抱きしめられたまま
眠ってしまったみたいで、
綺麗な寝顔をそっと見上げた。


昨日のことを思い出すとまだ
恥ずかしいけど、筒井さんと
ちゃんと出来て良かったって思う


ピンポーン

えっ?


夢の中で聞こえたチャイムが
さっきよりもリアルに耳に届くと
筒井さんが目を覚まして私を
もう一度抱き締めた


「つ、筒井さん‥‥あの誰か」

『いい、放っておけ‥‥』


ピンポーンピンポーンピンポンピンポン
ピンポンピンポン


えっ?なに?怖いんだけど!?


『チッ‥‥まだ寝てていいから。』


今筒井さん舌打ちした?
ピンポンが鳴り止まない相手に
苛立っているのか、
リビングに行くとインターホンに
向かって怒鳴った


『いい加減にしろよ、通報するぞ!』


ええっ!?


すっかり目が醒めてしまい、
ベッドの上でドキドキしていると、
玄関のドアが開けられて、
聞き慣れた声が聞こえて来た。


『おはよー滉一君。
 モーニング行かない?』


『行かない。帰れ。』


『なんでー?ん?おや?
 女性ものの靴があるね?
 もしかして霞ちゃんいるのーー!』


『お前煩い!!本当に帰れって!!』


今日はゆっくり筒井さんと寝坊して
ブランチする予定だったのに、
朝の7時に飛び込んできた蓮見さんに
寝室で寝ていた私は恥ずかしくて
布団の中に潜り込んだ


一緒に寝てたって知られるのが
恥ずかしいし無理!!


寝室の内鍵をかけると、
慌てて荷物から服を取り出し着替えると
寝室からそっと出て洗面所で
急いでお化粧を軽くした。


余韻に浸ることもなく、
賑やかなリビングに行けば、
機嫌が悪い筒井さんとは裏腹に
私を見つけると飛びついて来た
蓮見さんから逃げ回ったのだ


『で?』

『で?ってなんだよ。』


結局近くのカフェに3人で
モーニングに来ることになってしまい、
オープンカフェテラスで熱い
カフェオレを飲みながら2人を
交互に眺めている


筒井さん全然笑わないな‥‥
本当に眠そうだったし‥‥


『ん?何か言うことない?』

『は?何もない。というか食べたら
 帰れよ。あとこれから約束してないのに早朝から来たら通報するからな。』


ハハッ‥‥
本当にしそうで苦笑いしてしまう


『ね、霞ちゃん、10月の連休にまた
 別荘に行くけど来る?』


「えっ?行きたいです!!
 古平さんも亮さんもまた
 来られるんですか?」


5月に行った時に秋も行くって確かに
言ってたけどすっかり忘れてた。