私が立ち止まらないように、
安心して働けるようにまで
動いていてくれた優しさに、
また涙が溢れるともう一度
腕の中に抱きしめてくれた。



『送ってく。』


何分くらい
そうしていたか分からないけど、
涙が止まり落ち着いた私を
家まで送ると言って車が動いた


『もう体調は大丈夫なのか?』


ギクッ!!


そうだった‥‥私エントランスで
筒井さんに思いつきであんなことを。


どうしよう‥‥
慌てていっぱいいっぱいだったから、
そんなこともう忘れてた。




『ま。あんだけ走って帰れるなら
 大丈夫とは思ったけどな?』


「えっ?あ!痛っ!!」


信号待ちに差し掛かった瞬間
また鼻を摘まれると、オデコを
ピンッと弾かれた


『俺にあんな嘘が通用すると
 思うなよ?』


「ウッ‥‥すみませんでした。」


『お詫びに今日はうちに泊まれ。』


えっ!?


突然何を言い出すのかと思い、
顔が一気に赤くなっていく


いっぱい迷惑はかけたし、
心配もさせてしまったから
お詫びはもちろんしたいけど、
泊まるなんて急に言われても‥


『フッ‥‥。何考えてるのか
 知らないけど、亮と拓巳もいるから
 煩いぞ。それとも2人で何か
 したかった?』


ドクン!!!


筒井さんの言葉に更に顔が
真っ赤になった私をチラッと見ると
面白そうに笑い始めた。


「な、ち、違います!
 何もそんなこと考えてなんて」


『そんなこと?』


「もう!違いますから!!」


そんな話をしていると、
筒井さんが家まで送ってくれ、
簡単に着替えやメイク道具を入れると
鏡に映った自分の顔が酷すぎて、
メイクを直してから戻った。


車の外で煙草を吸いながら
待ってくれていた筒井さんは
荷物を乗せてくれるとご飯を
買ってから帰ろうとデリバリー
専門店に寄ってくれ、多分亮さん
たちの分もと多めにご飯を買っていた。


車の中でお母さんに今日は
帰れないとだけ連絡をして、
2度目となる筒井さんのマンションに
やって来た。


ガチャ

『どうぞ、入って。』

「お邪魔します。」


相変わらず紳士的な対応に
慣れなくてドキドキしてしまう。


靴を脱いで筒井さんと一緒に
リビングへ向かうと既に2人が
くつろいで映画を見ていた。


『井崎さんこんばんは。』

「亮さんこんばんは。ウワッ!!」


亮さんに挨拶していると、
目の前から来た蓮見さんに
思いっきり抱きしめられてしまう



「は、蓮見さん!!」

『あー無事でよかった。
 任務遂行完了しないとさ?
 体罰があるからさ、もう俺
 ドキドキして待ってたよ?』


た、体罰?


『拓巳いい加減離れろ。じゃないと
 お前に飯やらないからな。』


『はぁ?霞ちゃん送り届けたのに?
 俺の貴重な華金を潰したのに?』


「は、蓮見さんのもありますから!」