蓮はなんとステージに立ってしまった。
 (わあ、なんでこんなことにい)。
 「はあい。とっても個性的なお兄さんですけどもお。まず、お名前を聞きたいと思いまあす」
 と、お姉さん。
 「あ、僕は、木下りょうっていいます」
 と、蓮。
 「へえ。木下りょうさん」
 「BTナンバーのギターリスト小林蓮君に似てますよねえ」
 (ええええええええええ)
 と、私。
 (ああ、もうだめだあ)
 「ええええええええええええ」
 と、蓮。
 「え、すごいびっくりしてますねえ。言われたことないですか」
 「え、ああ、えーっと、そのお・・・・・・」
 と、蓮。
 (わああああ、どうしよう)私はどきどきした。前の女子中学生くらいがこそこそ話している。
 (まずい、ばれちゃう)
 「全然似てないです」
 と、蓮。
 「そうですかあ。似てると思ったんですがあ」
 と、お姉さん。
 「全然似てないですよお」
 と、蓮。
 「そうですかあ」
 私はどきどきした。お姉さんが蓮をまじまじと見た。蓮はおどおどしていた。
 「うーん、似てると思うけどなあ」
 と、お姉さん。
 「ということでえ、お兄さんにイルカのえさやりを手伝ってもらいたいと思います」
 と、お姉さん。お姉さんはばけつを持ってくる。
 「はい。お兄さん。このばけつの中にい、イルカのえさの魚がはいってます」
 といってお姉さんはバケツの中身を蓮に見せた。