私たちはイルカのショーを見た。
 「それではあ、イルカの紹介をしたいとおもいまあす」
 と、お姉さんがいった。お姉さんがプールに近づく。イルカが顔を出す。
 「このこはあ、アポロンっていいまあす」
 一斉に拍手があがった。
 アポロンが水中にもぐった。またイルカが顔を出す。
 「このこはあ、りりかっていいまあす」
 と、お姉さんがいった。拍手があがる。イルカが水中にもぐる。またイルカが顔を出す。
 「このこはあ、レン君っていいまあす」
 と、お姉さん。拍手があがる。
 「わああ、僕と」
 と、蓮が言いそうになった。
 「ちょちょっとりょう」
 と、私がたしなめた。前の女子中学生くらいが振り向いた。私はどきっとした。女子中学生くらいはまた前を向いた。
 それから、イルカが飛び跳ねたりするのを見た。
 「うをー」と歓声が上がる。
 「わああああああああ」
 と、蓮が大声を出すので、そのたびにどきっとした。
 「はあい、それでは、ここで、お客さんにも参加してもらいましょう」
 と、お姉さんがいった。
 拍手があがる。
 「お客さんにい、イルカのえさやりを手伝ってもらいたいと思いまあす」
 拍手があがった。
 「じゃああ、えさやり手伝い人は手をあげてくださあい」
 と、お姉さん。
 「はああああああい」
 と、蓮が思いっきり手をあげた。皆が注目した。
 (えええええええええええええ)
 と、私はびっくりした。
 「おお、あそこにずいぶんファンキーなお兄さんがいますねえ。じゃあ、そこのお兄さん」
 と、お姉さん。
 (ええええええええええええええ)
 と、私。
 「はあい」
 といって蓮はたった。
 「ちょ、ちょっと」
 と、私。
 「じゃあ、そこのお兄さんに手伝ってもらおう」
 と、お姉さん。
 「はあい」
 と、蓮はいって、席を外れた。
 (ええええええええええええ。おいおい、まじかよお。や、やばい。どうしよう)
 と、私。