私と蓮はクリオネのコーナーへ来た。無数の小さい妖精のようなそれは水中を漂い、神秘的だった。
 「わああ」
 と、私。
 「わああ、これが海竜の幼生かあ」
 と、蓮が叫んだ。
 周りの人がこちらを見る。さきほどの女子中学生らしきグループもいた。
 「ちょ、ちょっとりょう」
 と、私。
 「あ、ごめん」
 と、蓮はいって片手を後頭部にやった。
 「ねえ、やっぱ蓮君とめるちゃんじゃないよ」
 と、女子中学生くらいのこたちが噂していた。
 「りょ、りょう、素敵ね」
 と、私はいった。
 「そうだね」
 と、蓮。
 やばい、これじゃあ、不審者だ。
 私は気を取り直してクリオネを見た。
 「もう、りょう、変なこと言わないでよ」
 「あは」
 と、蓮は笑みを浮かべた。
 私たちはクリオネを観察した。