私と、(れん)は変装してデートすることとなった。二人アフロのかつらをつけた。そうしてハート形のサングラスをかけ、ペアルックを着た。これならどこからどうみてもバカップルだ。
 二人は水族館に行くこととなった。薄暗いし、人がまばらだし、みんな魚等を見に来ていて、人間に興味がない。つまり目立ちにくい。
 それは、うだるように暑い夏場だった。二人は半袖シャツ。
 ワイルドストロベリー水族館。それはコンクリートの建物だった。私と蓮はそれを見上げた。
 「うわあ、とうとう来たんだ。竜宮に」
 と、蓮。中二病がさく裂していた。
 私は苦笑いした。
 開始9時前だ。入り口前に列ができていた。私と蓮は列に並んだ。前に女子中学生ぐらいのグループがいた。女子中学生ぐらいのグループはちらちら私たちをみてきていた。私は正体がばれたかと思ってどっきっとした。しかし、蓮は全然平気だった。
 「ねえ、あれ、そうじゃない?」
 と、女子中学生くらいのこが噂していた。
 「えー、うそお。あんなださくないよお」
 「ほら、BTナンバーの蓮君」
 私と、蓮はびくっとなった。
 女子中学生くらいが蓮をまじまじと見ている。蓮はじっとしていた。
 「なわけないよ。あんなださくない」
 「だ、だよねえ」
 私と蓮はほっとした。
 「ねえ、女の子のほう、そうじゃない」
 私はぎくっとした。
 「ほら、阿部めるちゃん」
 私は冷や汗をかいた。
 「ここなん、水族館、楽しみだねえ」
 と、蓮がいった。
 「そうね。りょう。すっごい楽しみ」
 私は声色を使い、ばかっぽくいった。
 「だねえ」
 と、私。
 「だねえ」
 と、蓮。
 女子中学生くらいはドン引きした様子。
 「な、ないない。こんなバカップル、蓮君とめるちゃんなわけない」
 「だ、だね」
 私たちはほっとした。
 やがて、水族館が開館した。私たちはチケットを購入して、水族館に入った。
 館内は薄暗かった。みんな魚等を見ていた。私と蓮は魚等を見て行った。