「それでね、友達に戻って1からやり直そうってことになったの。毎日楽しく笑って過ごして、あたしは京か理一か選ばなきゃいけなかった」
「……うん」
「でもね? ある日立ち聞きしちゃって……」
「……何を?」
「京が、東京から帰ってきたのは、あたしに会いたかったからだって言ってたの。そばにいたいって……恋人じゃなくても、隣で笑ってくれたらそれでいいって……」
「……」
「京が東京に行ったのは、夢のためなの。それなのに……あたしなんかのために帰ってきちゃって……バカだよね……」
「綾……」
声が震える……。
「……その時ね、あたしは京や理一……みんなのそばを離れなきゃって思ったの」
「……何で?」
あたしは力なく笑い、震える唇で、何とか言葉を発する。
「……あたしね、この町からいなくなるの」
「え……? それって……転校……ってこと……かや?」
「まぁ……そんな感じ」
さすがに、いつか死ぬんだなんて言えない。
「いつになるかは、まだハッキリしてないんだけど。そう遠い話じゃないの」
「嘘……」
嘘じゃないよ。
そう遠くない未来、あたしはいなくなる。