「あたしのせいかや!?」

「え? 違うよっ」


梢の勢いに押されながらも、手を左右に振って否定する。


「……あの時も言ったけど、梢のために離れたんじゃないんだよ。自分のためなの。離れたのは、あたしがそうしたかったから」

「でも……何でかや? 周りの人とも離れる意味がないけん」

「………」


どうしようかな。何て言おう……。


「ってごめん! 話しちょーないこともあるがねっ! ごめんっ」


アタフタする梢を見て、胸が温かくなる。


梢になら、話してもいいかもしれない。


「梢……」

「ん!? 何っ!?」

「誰にも言わないって約束して」

「え? ……うん……何を?」


誰にも言えなかったこと。

離れた、本当の理由を……。


「京たちには、言えなかったことなんだけど」


苦笑いすると、梢は丸くしていた目をキリッとさせた。


「誰にも言わんけんっ」


素直だなぁ……。


あたしは紅茶をひと口飲んでから、口を開く。