「あの……綾ちゃん」

「はい? あっ、綾でいいですよ」

「じゃあ……綾……あっ、敬語いらんけん! 何か、違和感あるが」

「ふはっ! 違和感て!」


あたしが笑うと、梢先輩は顔を赤くする。


「だっ、だって、あたしのほうが1個上って感じもしないし……」


アタフタする梢先輩を見て、また笑ってしまった。


可愛い人だなぁ……。


「あと梢でいいから!」

「え? いや、それはさすがに……」


先輩はつけないと……。


「いいからっ、梢で!」

「ぶふっ」

「何で笑うがっ!」


確かにちょっと、先輩って感じはしないかな。


「じゃあ、お言葉に甘えて梢って呼びます」

「うん!」


パッと表情が明るくなる梢。


素直で可愛い人。周りに好かれるタイプだな。


そんなことを思ってると、梢はまた眉を下げた。


「どうしたの?」

「あの……さ、いきなりこんな話、失礼だと思っちょーけど、京くんと理くんと……離れたの?」

「あぁ……離れたよ」


ニコッと笑うと、梢は身を乗り出す。