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「綾。校門の前に、郁子来ちょる」
日直の仕事があり、放課後、学校に残っていると陽子がクラスにやって来た。
1週間。あたしは郁子からの連絡を無視し続けていた。
「な……何で?」
「さあ。とにかく、綾連れて来ちょーって」
陽子は首を傾げて、不思議そうに言う。
「郁子と何かあっちょー? かなり久しぶりだがね?」
「……いや、なんだろね?」
色々考えをめぐらしていたが、きっともう逃げられないと思い諦めることにした。
もう……ツイてない。
まさか学校にまで来るなんて……。
あたしは陽子と別れて、校門まで歩く。そこには確かに郁子の姿があった。
さらさらの長い黒髪をなびかせて、横長のきれいな二重の目で郁子はあたしを見た。