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〜♪〜♪〜♪〜


「ん……」


携帯の着信で眠っていた頭が目覚め始める。


ベットから出ることもなく、暗闇の中、手探りで携帯に手を伸ばした。


「……もしも〜し……」


眠い目を擦りながら電話に出ると、その主に驚いた。


『あ。綾?』

「……え」

『あたし、郁子』

「え、どうしたの……」


何で郁子から電話!?


あたしと郁子は中学も一緒だったけど、全く接点もないまま別々の高校へ進学したから、3年ぶりの会話になる。


『や、あのさ、ちょっと……』

「何?」


郁子から電話なんて、今までなかったのに……。


『綾、あたし今日……』


ありえないと疑いながらも、郁子があたしに話したことを、その晩何度も何度も頭の中でリピートした。


桜が散り始めた、肌寒い夜のこと。