廊下とリビングを繋ぐ木のドアを開けると

「おそいよ」

リクに怒られた。

「ごめん、ちょっとびっくりして」

「何が?」

「あ、えっと、その・・・体中に何か赤い痣があったから・・・変な病気になっちゃったかと思って・・・」

リクを直視できなくて、下をむいたまま、椅子に腰掛け会話する。

「ふ~ん」

リクは別に気にする風でもなく、自分で焼いたパンをほおばる。

自分でつけたくせに。

私はあの後、シャワーを浴びながら良く考えて、

こういう痣みたいなの、確かキスマークって言うんだって

大好きな人同士が
お互いの事を自分の特別な人だって
体に印をつけるんだって

何かの本で読んだことを思い出した。