「ママ、今日は仕事遅いの?」

私はこれ以上リクにからかわれるのは勘弁だと思い、コーヒーを飲みながら新聞を読んでいるママに話をふる。

「あぁ、今週は入稿前だからちょっとバタバタしちゃうかも」

「えー、じゃ帰って来れないかもってことぉ~」

私は口をとがらせ精一杯不服の表明をする。

「う~ん、ごめんね、ほんと締め切りのない仕事につきたいわぁ」

なんてママは言うけれど、絶対仕事大好き人間だから転職なんてしないのを私は知っている。
現にママの仕事の関係で物心つく前から、今の学校に入れられてるわけだし・・・。

「ほんと、ごめん。この埋め合わせは絶対するからイイコでいるのよ」

そういってママは私の頭を撫でてくれる。

もぉ~頭撫で撫でって・・・。

リクもママも私をいつまでも子ども扱いするんだから。

でもママとちょっとでも会話できて、スキンシップできて私はまんざら悪い気はしなかったんだけどね。

「そしたら今度母さんが休みを取れたら、みんなで温泉にでも行こうよ」

珍しくリクがいい事を言った。

「いいわねぇ~GWにはお休みとれると思うから、リクの高校入学祝いとしいなの進級祝いを兼ねて旅行でも行こうか?」

おっママも乗り気だ。

わーい、久々3人で旅行なんて嬉しいな。

温泉も嬉しいな。

どうせなら美肌効果のある温泉がいいなぁ。