それから私は無事に復活して、もりもりご飯を食べて、お風呂上りにリビングのソファーに寝そべって、例の美術雑誌を見ていた。

こんな素敵で切ない絵を描く作家さんの名前を胸に刻む。

「若槻連、わかつきれんって読むのかなぁ」

「何男の名前つぶやいてんの」

お風呂上りのリクは上半身裸、何故か下だけアディダスのジャージのズボンをはいている。

乾かしていない髪の毛から水滴がポタポタ落ちている。

「この絵の作家さんの名前だよぅ。どんな人なんだろう。個展とかひらかないのかなぁ」

上半身裸のリクは私の上にドスンと腰を下ろす。

「うっ」

骨ばった衝撃に思わずうめき声をあげてしまう。

リクは私に覆いかぶさるようにして、私が見ている雑誌を覗き込む。

「ちょ、起きるから、上にのらないでよ」

「いいよ、このままで」

そういうとリクは私の髪の毛にチュッとキスをしてきた。

「あー、ちょっと髪の毛、髪の毛乾かさないと雑誌に水滴が落ちるぅー」

私は急いで雑誌を自分の体の下に隠して、濡れた髪から水滴を落とすリクから今一番大事な雑誌を守った。