「しーなうるさい」

そういってリクはまた私にキスをしてきた。

私はとりあえずリクを自分の体から引き離そうと
リクの胸を力いっぱい押す。

押してみてるけど全然離れない。

うぅー息が苦しい、窒息しそうだ。

頭もしっかり押さえられていて逃げられない。

弟にキスされて窒息死・・・・。

そんなのスポーツ新聞の3面記事にもなりゃしないわよッ。

それでもやっぱりまだ死にたくないし、
今日から新学期だし、
とりあえずリクの体をはがそうともがく。

あ、いい事思いついた。

私はリクの唇を噛んだ。

「いてっ」

リクが怯んだすきにベットから逃げ出す。

「まじ痛いから」

リクがこっちを怖い目でみている。

唇からはちょっと血がでている。

何か、ドラキュラみたいだ。

唇ににじむ血をリクは自分の手の甲でぬぐう。

うぅ、艶かしくて、何だか色っぽい。
キスされた事よりも、
唇の血をぬぐう仕草にドキッとする私は、
意外と普通じゃないのかも。

「だって、苦しかったんだもん」

一応弁解してみる。

「鼻で息すりゃいいじゃん」

へっ?キスしてるときって鼻で息していいもんなの?

でも好きな人に鼻息荒いとか思われたらちょっと嫌かも。

それともキスに夢中で意外と鼻呼吸に気が付かないものなのか?

そんな感じで私がうっかり考え込んでいると

「はやく支度しないとご飯の時間なくなるよ」

リクは何故か唇を噛んだ私を怒らず、ご機嫌でさっさとドアを開け階段を下りて行ってしまった。

あぁ、そうだった、今日からまた新学期なんだった。