「リク・・・。そんなにこすったら血だらけになっちゃうよ」

それでもこするのをやめないリクの腕を

私は思わず掴んで、やめさせようとしていた。

そしたらリクは

何も言わず持っていたスポンジを床に落とし

制服姿のままの私をぐいっと自分の方にひっぱった。

おかげで私は頭からシャワーを浴びるはめになり
濡れた制服がリクの体と一緒に私にまとわりついて、何か気持ちが悪かった。

抱きしめられたリクの腕の隙間から、顔を上げてリクを見る。

いつも真っ直ぐ私を見つめる、リクの茶色がかった綺麗な瞳は、まぶたがとじられていた。

さっき腕を引っ張られる時に一瞬だけ見えた

リクの涙。

リクは自分が泣いていたのを、私に隠すために
私を抱きしめて、そんな風に目を閉じているんじゃないのかなぁって

ぼんやり思った。

それを見て、

私の心もチクンって痛んだから

裸のリクの背中に手を回し私もギュッっとリクを抱きしめた。