さて、ボーっとしてても仕方がない。
とにかく谷口先生の所に行こう。

先生達の机が並ぶ合間を縫って、谷口先生の机に戻る。

先生は早速テストの丸付けをしていた。

え、特進クラスの人たちってもうテストしたの?

昨日入学式だったのに・・・・。

私には絶対無理だ。

リクは昨日あんなことして全然勉強していなかったし、やっぱりそれでテストの点が悪くて、その事を言いたいのかな。

「あ、しいなちゃん」

そう言って、振り向く谷口先生。

私の担任の笹塚先生は30代半ばのなかなかさわやかな先生だ。

でも意外といい加減で、まだ若いのに熱血教師って感じじゃない。

噂だと笹塚先生も幼稚園からの内部生で、大学で外部のちょっと有名な所をで勉強して教師の資格をとったらしいけれど、元がエスカレータ式の、のんびり学校出身だからか、本人の性格がそうなのか、とにかくまったりしている。

それに比べると谷口先生はいかにも仕事できますって感じの見た目だ。

バリッといつも綺麗な黒いスーツを着こなして、ハイヒールを履いて、縁なしメガネの奥には利発そうな目がキラリと光っている。

大学も主席で卒業したらしいし、こんな学校においておくのがもったいない位優秀な先生だ。

それに、谷口先生の方が若いのに、笹塚先生より何かと熱血だ。