外見と言われ、改めて金髪の彼を見てみた。

「モデルやってた時期もあるんだぜ」

 容姿に自信があるらしく、お気に入りらしい角度でこちらを見返す。偽物の青い目は大量の嘘を宿し、やはり信用に当たらない。

「それもコネですか?」

「はぁ?」

「私の好きな人はもっとカッコいいですから」

 この状況下で和樹お兄ちゃんの話を持ち出すのは、私自身を奮い立たせる意味がある。

 そのまま景気づけにグラスを飲み干す。

「ーーはぁ、ご両親が健在なうち孝行した方がいいですよ!」

「いきなり何? 説教かよ。あ、そうか、果穂チャンは両親を亡くしてるんだっけ? それで幼馴染の兄貴に援助して貰ってるんだよな?」

「そ、そうですけど?」

「俺がよく行く居酒屋やバーで、その兄貴が女に囲まれてるのをよく見掛ける。人違いじゃない、瑠美が弟と似てるって言ってた」

「……」

「その顔からして果穂チャンが好きな奴ってアイツ? ふーん、俺が言えた立場じゃないけどないけど相当遊んでそう」

 小気味よく2本目を開け、半分をまた私のグラスへ。

「和樹お兄ちゃんは女の人と、その」

「そりゃあ1人、2人はお持ち帰りしてるんじゃない? じゃなきゃ飲みの場行かない」

 スナック菓子やサラダを開封し、勧めてくる。

「果穂チャンはお兄ちゃんとシタ?」

「え?」

「あれーーまさか和樹お兄ちゃんとシテない?」

 嘘でしょと付け加え、大袈裟に驚く。

「女として見られてないんだね、果穂チャン。好きな相手に異性として扱われないなんて惨めだね、可哀想〜」