日頃の感謝を表す。

 両親が亡くなり、みんなが私を腫れ物扱いする中で瑠美は気さくに接してくれた。
 聞いての通り、私達の価値観はかけ離れていて共通項の方が少ないだろう。

「瑠美は明るくてオシャレ、隣に居ると私までスポットライトが当たる気がするよ。元気になるの」

 Tシャツの襟元をつまみ、私も身形に気を付けようと考える。

「瑠美みたいになりたい。オシャレを教えてくれる? 私ね、どうしても和樹お兄ちゃんに女性として見て貰いたい」

 すると瑠美がぶるぶる震えだし、カゴの中身へ振動した。

「ご、ごめんなさい! 果穂、あたしーー」

 その時、彼女の背後から数名の男性が顔を覗かせる。
 ひっ、瑠美はその登場に小さく悲鳴を上げた。

「おはよーございます! 俺達、瑠美の友達。ねぇねぇ、宅呑みするんでしょ? 仲間に入れてくれない?」

 親しいというより馴れなれしい調子で割り込まれ、瑠美の友達だとしても戸惑う。

 質問を流そうと目配せしたが、瑠美は彼等に囲まれているせいか華奢に映り、なんだか様子がおかしい。

「あ、あの、瑠美と2人で話したい事があるので」

「話したい事? なになに? あぁ、恋愛相談?」

 男性の中で金髪の青年がメインで受け答えする。他の人はやりとりをニヤニヤ眺めていた。

「男心は男に聞いた方がいい。君が果穂チャンだよね? いやぁ、スタイルもいいんだねぇ」

 身体のラインをなぞる目つき。はっきり言って不快だ。

「あれ? 聞いてないかな? 果穂チャンを紹介して欲しいと前々からお願いしてたんだけど」