「そうだ! あたしの部屋に来ない? お酒買ってピザを頼もう」

「朝から?」

「落ち込んだ友達を励ますのに朝も夜も関係なくない? それに良ければ服やメイク道具もあげたいな。果穂、欲しいって言ってたよね?」

「う、うん」

 ぐいぐい手を引っ張られる。こんな時間から飲んで気晴らししたいと思わないが、瑠美の心遣いは有り難い。
 彼女にまだお兄ちゃんを諦めたくないって相談すれば、いいアドバイスをくれるかもしれない。

 コンビニでお酒を買おうとする瑠美に提案してみる。

「この時間はスーパーが開いてる。サラダや簡単なおつまみなら作れるよ」

「……果穂、あんた家庭的だわ。実は作って貰おうにも調理器具揃ってないんだ。あたし、自炊しないの」

「そ、そうなんだ。ごめん、お節介言っちゃって」

「ううん、全然。節約になるんだし、料理が苦にならなきゃ作った方がいい。あたしは調理にかかる手間暇を別の事に費やしたいって話」

 友達と遊んだり、動画を観たり、身体を鍛えたりとか。瑠美は素敵なネイルを施す指を折って数える。

 そして店内に入り、カゴへ次々と商品を放る。値段を見ずに。

「公共料金の振り込みぐらいしか、コンビニって来ないな」

「うちはそういうの親が全部ーー」

 言いかけ、瑠美は動作を止めた。

「気にしないで」

 私は笑ってみせる。

「ごめん! でも、こうして遊ぶお金は自分で稼いでるからさ。お詫びに気になる物があれば奢る! どんどん買っちゃって!」

「そんな、いいって。割り勘にしよう。瑠美の私を元気付けようとしてくれる気持ちが嬉しい。ありがとう!」