3人で囲む食卓は賑やかだ。

 単身者仕様の空間は家具諸々を最低限の揃えにすることで窮屈さはない。テーブルに和樹お兄ちゃんと正樹が並び、私は正面に座る。

「こうやって座って食べると昔を思い出さない?」

 私の両親は共働きだった為、帰りが遅くなる時はお兄ちゃん達と夕飯を食べていた。

「そうだねーーって、おい正樹、肉ばっかり食べるんじゃない」

「腹減ってるんだ、しょうがないだろ」

 わたしは変わらない兄弟のコミュニケーションを眺め、似ているようで似ていない姿へ意識を向けた。

 まず和樹。大学でも様々なスポーツサークルから勧誘されるほど恵まれた体格で、真っ直ぐな性格が清々しい。

 この食事会だって私がお兄ちゃんに何らかのわだかまりを抱えていると察し、計画したに違いない。

「果穂、おかわり!」

 ズイッとお茶碗が差し出される。

「自分でやれ。果穂ちゃんを扱き使うな」

「扱き使うなって? オレは誰かさんとは違って飯の支度を手伝ったし」

「まぁまぁ、和樹お兄ちゃんは仕事があるんだから。はい、どうぞ。沢山炊いたから食べてね」

 正樹は3人分作るのは大変だと言い、調理をサポートしてくれた。包丁を扱うのに慣れており、おばさんの教育の賜物だろう。

「正樹はきっと良い旦那さんになると思う」

「え? マジ? やった! 果穂、オレと結婚しようぜ」

 褒めるとすぐ調子に乗るのが玉に瑕(きず)だけど。