「…帰る。」



私は来た道を戻る。



「おい!待てよ!」



もう一度腕を掴まれる。



「おまえの家ではもう住めないんだよ!
おまえは、俺らの家で住むしかねえの!」



…この人、何言ってんの?



「あんた、頭おかしいんちゃう?
いきなり自分の家連れてこうとして、はい、わかりました。ゆうてひょいひょい着いてくアホがどこにおるん?
だいたい、あんた誰やねん!」



沈黙…。



堪えていた涙が溢れた。



「お母さん…は…どこやねん…
家…帰らせてよ…
意味わからんて…」



怖くて、不安で、とにかく家に帰りたかった。