瞬くんの体がだんだんと薄くなってきていることにやっと気づいた。


本当は「いかないで」と泣き叫びたかった。だけど、そんなことをしてもきっと瞬くんはいなくなってしまうから。



それなら、最後くらい笑顔でお別れしたい。


瞬くんの記憶の中の私が、最後まで綺麗でいられるように…。



「美夜ちゃん。最後に一つだけ、おまじないかけてもいい?」


「え?」


「さっきの僕のことを忘れるおまじないは、無効だから。これが僕から美夜ちゃんに捧げる最後のおまじない」



瞬くんが触れられないけど私の頬にそっと手を添えて、顔を近づけてきた。



「この先の人生、美夜ちゃんがずーっと笑顔でいられますように」



目を開けると、もうそこに瞬くんはいなかった。