「最後に美夜ちゃんとまたこうして会って話せて、僕はもう満足だよ。あとは美夜ちゃんが僕のことを忘れて生きてくれれば、それで…」


「勝手なこと、言わないでよ…」


「…え?」



もう、我慢の限界だった。



「そんな悲しそうな顔をして、どうして自分のことを忘れてくれだなんて言えるの?私の気持ちなんて全部お構いなしなんだね。私がこの七年間、どんな思いで生きてきたか瞬くんは知らないでしょ?瞬くんのことなんてとっくに忘れようと思ったよ。もう会えないなら、瞬くんのことを想い続けるなんて意味がないから。そんなの時間の無駄だから。何度も何度も瞬くんのことを忘れようとした…っ!」



楽しくないけど男の子に積極的に話しかけてみたり、慣れない合コンに参加してみたり。私なりに必死に色々試してきた。



「それなのに、この七年間で瞬くんと出会ったあの夏の夜を忘れたことなんて一度もない…。瞬くんを忘れるなんて、そんなのできないよ…」



できなかった。瞬くんのことを消すなんて、私にはできなかったんだ。



「私は瞬くんが好きなの。出会ったあの日から、ずっとずっと好きなの…」