だけど…会いたかったのはこんな形じゃなかったのに。



「泣かないで、美夜ちゃん…。僕がこの世に留まってるのはよく聞く“未練”ってやつがあるからだと思うんだ」


「…未練?」


「そう。昔から泣き虫な美夜ちゃんと、もう一度会いたかったのもそうだし…」



瞬くんが体を傾けると、私のおでこにそっと口づけをしてきた。



「僕を忘れるおまじない」



瞬くんはあの日と同じように、私におまじないをかけてきた。



「美夜ちゃんはこれからも長い人生を生きていく。その人生に僕は必要ないから、美夜ちゃんの邪魔にならないためにもあの夏の夜は忘れてほしい。美夜ちゃんを僕のせいでこれ以上悲しませたくないんだ」



瞬くんを忘れる…?