「はいはい。おまえ、駅前の時計台の下好きだよなぁ」



目の前を歩いているカップルの会話がふと聞こえてきて、聞くの悪いかなと歩くスピードを落とす。



「えー知らないの?駅前の時計台の下は会いたい人と会わせてくれる場所なんだよ!だからそこを待ち合わせにしてれば、きっと何があっても会えるでしょ?」


「ははっ、なんだよその迷信」


「あー信じてないでしょ?本当だもんー!」



思わずその場で立ち止まってしまう。



会いたい人と会わせてくれる場所…。


私にとって会いたい人は、あの夜の日からたった一人。


七年経った今でもずっと忘れることのできない初恋の人。



「…って、本当に来ちゃったよ」