(しゅん)くんと出会ったのは、十歳の夏の夜のことだった…。



「お母さん、お母さんどこにいるの…っ」



夏休みを使って二泊三日で田舎のおばあちゃんちに来ていた私は、今日は近くの砂浜で遊んでいた。


もう暗くなってきて、そろそろ帰る時間かなとお母さんを探してみても、さっきまで近くにいたはずのお母さんがいなくなっていた。


空はどんどん暗くなってきて必死にお母さんの名前を呼びながら砂浜を歩いていると、空のビンにつまづいて盛大に転んでしまう。



「ふえ…っ、うわぁぁん…っ」



痛くて、ひとりぼっちが怖くて、もう限界だった私は大きな声で泣いていた。


そんな時だった。



「なんで泣いてるの?」



色素の薄い髪色をした男の子は、まるで絵本の中から飛び出してきた王子様のようだった。