「風邪、引かないでくださいね」



この男の子がもう自分を傷つけないといいな。


そう思った。






「あの時の男の子が…小山くん?」


「ああ。沢村だけが俺に気づいて声をかけてくれた。あの日から沢村に言われた通り、喧嘩も自分を傷つけることもやめたんだ。あの日、沢村がペットボトルを買いに行ってる時にたまたま鞄からはみ出てた高校のパンフレットが見えて。キモいかもしれないけどもう一回会いたいと思って、そこに行けばまた会えると思った。だから勉強も頑張った。そしたら本当にまた会えたんだ」



それじゃあ…小山くんを変えた女の子は、私だったの?



「俺はあの夜から沢村の優しい笑顔が忘れられなかった。ずっと好きだった。もっと仲良くなりたいと思ってるのは俺の方だよ。今日だって、たまたま沢村を助けられたのが俺でよかったってそう思ってたから」


「う、うう…っ」



こんな奇跡があるのだろうか。