そんなに優しくしないでよ…。



小山くんが本当は優しいことなんてもうわかっている。


このパーカーもそうだし、さりげなく車道側を歩いてくれていることも、ふと見せてくれる笑顔も。



こんなに男の人とちゃんと話せたのなんて、今日が初めてかもしれない。


ずっと男の人は怖いと思っていたけど、小山くんだけは違った。


小山くんだけは、他の男の人と違う。特別なの…。



「…沢村?」



小山くんが急に立ち止まった私に怪訝そうに振り返ってきた。



「…私だって小山くんともっと仲良くなりたい。好きな子がいるから諦めないといけないなんて嫌だよ…」



私だって好きになってしまったんだ。