小山くんがまさか恋する男の子だなんて考えたこともなかったから。



「やめろよ親父…!んなもんいねぇし!」


「またまたー。照れんなよ」



小山くんは耳まで顔を赤くしていて、好きな子がいるのがバレバレの反応だった。



「い、いねぇもんはいねぇ!」



小山くんは全く説得力のない真っ赤な顔をしてそう叫ぶと、逃げるように奥に行ってしまった。



「あちゃーちょっといじりすぎたかな。けどあいつに好きな子がいるのは絶対だからなぁ…」


「なんでそう思ったんですか?」



思わず聞いてしまってから、他人のことに踏み込みすぎだろうかと少し後悔する。


だけど大智さんは全く気にした素振りもなく、何かを思い出すように優しく目を細めた。