喧嘩ばかりしてるなんて噂を聞いていたから、もっと怖い人なのかと思っていたけど全然そんなことないな…。



「じゃあ愛花ちゃん、こいつの好きな人知ってたりしないかー」


「え?」


「な…っ!」



小山くんが勢いよく立ち上がり、その拍子に椅子が後ろに倒れた。



「こいつ、同じ学校に好きな子がいるみたいなんだけどさ、ぜーんぜん誰なのか教えてくれなくて。同じクラスなら何か知ってたりしない?」



小山くんに、好きな人…?


学校ではそんな素振り一切ないし、仲のいい女の子も特に思いつかなくて、間抜けにもぽかーんと口を開けてしまう。



「いや…知らない、ですね…」



もしもそれが本当だとしたら、少し…いや、かなり驚きだ。