「なになに、朔夜と同じクラスの子だったの?」



眼鏡の男の人が何やら嬉しそうに身を乗り出してきた。



「俺は小山大智(だいち)。朔夜の父親なんだ。朔夜ってば全然友達とか連れてきてくれないから、愛花ちゃんのこと連れてきてくれてなんだか嬉しいなー」


「え、あ、えっと…」



小山くんとは友達でもなんでもないし、なんなら話したのも数十分前が初めてだ。


なんて、気まずくて言い出せずにいると、小山くんが私と大智さんの間に手を伸ばしてきた。



「やめろよ親父。沢村はただのクラスメイトだよ。ナンパ男に絡まれて怪我してたから、連れてきただけ」


「えー?なんだ、そうなの?」



…もしかして、また庇ってくれたのかな?


なんて自惚れてしまうのは、小山くんが思っていたよりも話しやすいからだろうか。