「怪我、してるから手当てしてやって」


「「え」」



私と眼鏡の男の人の声が被った。


そして忘れていた手のひらの擦り傷がじんじんと痛み出した。



「あらら、派手に擦っちゃってるね。ちょっと待っててね」



男の人は私の広げた手のひらに気づくと、奥に行ってしまった。



「悪かったな、急に連れてきて」


「え…っ、い、いや、そんな…!あ、さっきは助けてくれてありがとう…」


「あー別に」



小山くんは空いていたカウンター席に腰掛けると、隣に座るよう促してきた。