「今まで散々やってきたんだから、お母さんはもしかしたら私のこと嫌いかもしれないけど…それでも私はお母さんのことが大好きだから。これからもお母さんと二人で、お父さんの分も生きていきたいって思ったの」



お母さんは私の隣に腰掛けると、そっと頭を撫でてきた。



「親が子どもを嫌いになるわけがないでしょ。夜空はお母さんとお父さんの一番の宝物なんだから」



ふっとお母さんが優しく笑った。


久しぶりに見たその笑顔に思わず涙が出そうになった。



これからはお母さんと二人で、たくさん笑い合って生きよう。そう誓った。




「…ねえ、お父さんの髪型、絶対ツンツンさせないで下ろしてた方がかっこいいよね」


「そう!そうなのよね、あの人ったら何度言ってもこれが俺だ!って曲げようとしなかったのよ…って、どうして夜空がそんなこと知ってるの?お父さんの写真見たことなかったわよね?」



早くにいなくなったお父さんをあまりよく思っていなかった私はもちろん写真なんかも見たことはなく、急にそんなことを言い出した私にお母さんは不思議そうに首を傾げていた。