「おまえ、大丈夫か!?」


「え?」



顔を上げた先では、満月の光に優しく照らされた男の人が驚いたように目を丸くして私を覗き込んでいた。



「ものすごい音がしたかと思ったら、おまえがベンチごと倒れてたから驚いたぜ。怪我はないか?」



よれよれのTシャツにジーンズといったラフな格好の男の人は、よく見ると結構かっこよかった。


ツンツンに逆立てている頭がパイナップルの上の部分みたいで当たったら少し痛そうだけど。



「おい?」


「あ、はい、大丈夫です…」



男の人が差し出してくれている手に自分の手を重ねると、ぐいっと力強く引っ張り上げられた。


その男らしい力強さに少しだけドキッとする。