語尾が少し弱くなってしまっているのにも構わず、俺は詰め寄る。

溝にハマってしまった猫がいて、可哀想だから助けていた。


隣の家で飼っている猫だったから、ノラっていう心配はいらなかったし、そういう条件付きだ。

猫好きって言うと、似合わないって言われるから隠していたのに…。

ショックを受けていると、桜楽がフフッと笑う。




「自分が泥まみれになってまで、猫ちゃん助けようって思える人はすごいよ。尊敬する!」



明るい笑顔で、俺の良いところを挙げる少女。


俺にとって彼女が、救いの女神みたいに見えたんだ。

もう大丈夫だよ、と微笑む彼女に、俺は不安を拭えなかった。

だけど…桜楽が満面の笑みで言ったんだ。






「大丈夫!」






って。


その笑顔に、俺は恋をした。




* * *