祐月のことが、好き。
誰よりも。何よりも。どんなことよりも。
世界で一番、宇宙で一番。
一番より、もっと上の場所かもしれない。
それぐらい。どこまでも、祐月が好きだ。
好きっていう思いは、溢れ出したら終わらない。
口の中でもう一度、「好き」と言う。自分の思いを確かめるように、そっと。
私と祐月は立ち止まったまま、うつむいてそこに立っている。
風と鳥の音ばかりが、世界を通り過ぎていく。
部活動の先輩たちの声が、遠く聞こえる。
私達は動かない。祐月もさっきから、動く気配がない。
失敗、かな…。
ううん、大丈夫。これまで通りか、これまで以上か。損失なんて、何もない。
そう、頭の中で繰り返す。
だけどもう、耐えきれなくなって。
「祐月っ…」
無理なら無理でいい。せめて今まで通り、幼馴染で居たい。
そう伝えようと、顔を上げて、祐月を見る。祐月も私と同じタイミングで顔を上げる。