「好き」











思った言葉が、そのまま口に出る。


だけど勢いをつけていなかったから、つぶやいて、空気の中でスーパーボールみたいに跳ねて、終わる。


だけど十分、祐月はわかっていた。



「え」



動揺した祐月の声。愉快になってしまうのは、幼馴染でライバル視していたから?

私はまっすぐに顔を上げて、祐月を見る。睨むように、まっすぐに。


目をそらさずに、今度はもっと、自分がずっと思ってきた思いを。


二年間の、思いの強さを。







「好き!」








叫ぶように、そう告げる。

さっきより明らかに揺れ動いている祐月の目に、届いた、と実感を得る。