流空とは、最近ずっと一緒に帰っている。

だけど今日は先客があるんだよね。



「ごめんね、流空!今日はちょっと…」

「え?なんで?」



寂しそうに来く流空に、「祐月と帰るの」と答える。


そう言うと、流空の表情が一瞬、変わった。


歪んだり、悲しそうだったりってわけじゃなくて…。

どっちかというと…笑み…?

流空が浮かべたことのないような笑みだった。

勝ち誇ったような、野望のようなものが浮かんだような…よくわからない。

うまく言えないけれど、少し不気味だった。

だけどそれは一瞬で、流空は笑顔になる。

見間違いかな…?


流空は穏やかな笑顔を浮かべて、廊下から教室に入っていく祐月を見送る。



「わかった!ガンバ!」


流空はこういう時、熱弁してくるけど…たった三文字の応援は、流空の本当の気持ちが見えたみたいで嬉しかった。



「うん。頑張ってくる」



私達は軽くうなずき合って、それぞれの教室へと帰っていった。