『好きな人、いるし』





祐月の言葉が、いつまで経っても耳から離れない。頭から離れない。


そりゃ、そうだよね…。

祐月にだって…好きな人、居るはずだよね。


それに思い至らなかった、私が馬鹿なだけだ。

早く言えなかった…私が悪い。


…最悪。

もう、好きって言えないじゃん…。


今になって、ようやく流空の気持ちがわかった気がする。


好きな人に、好きな人が居る。


胸が痛くて、何も言えない自分が腹立たしい。

泣きそうなぐらい苦しいのに、それを言ったら困らせてしまうから、言えない。


祐月。

私を好きになってよ。




「好きになって、ほしかったよ…」