休み時間、祐月が私の方にやってくる。



「お前、大丈夫なのか?」

「え?」

「1000m!」



呆れたような、心配したような声で私の頭をグリグリと押さえる祐月。



「お前、運動音痴だろ。それなのに1000mとか…」

「うぅ〜、わかってるんだけど…」

「相変わらず、お人好し」



むぅっと、怒っている意思表示に頬をふくらませる。

と、祐月は人差し指で私の頬を押して、ぷしゅっと間抜けな音がした。


こういう子供みたいなことができるのは、祐月だから。

祐月はケラケラと笑って、私の頭を撫でる。




「勝てる?」




私がさっき祐月に聞いたことと同じことを、祐月は私に聞いた。

祐月はこういうところでからかってくるんだよね。

祐月なら自信満々に「勝てる。」って言うだろうけど…私はできない。

だって、計測のときだってものすごく頑張って2位だったのに、今度は体育祭…。

それなら勝てる自信なんて、無い方がマシだ。