私は祐月が好き。
だけどそれ以前に…私達は「幼馴染」だから。
ずっと競い合って、喧嘩し合って、育ってきたから。
負けたくない。
身長だって、運動だって…祐月には、負けてばっかだから。
私の意地に、火が着いた。
「桜楽!残り、二周!」
祐月の応援が聞こえて、顔を上げて、祐月がそこにいることを確認する。
「頑張れ、桜楽!」
うん。
祐月、私、頑張るよ。
祐月に負けたくないもん。
祐月に、カッコいいって、すごいって思ってほしいもん。
祐月の声に力をもらう。
もう無理、走れないなんて悲鳴を上げている足を、一生懸命動かす。