「やーべ、どうしよ。タイム落ちてそー。祐月は?」

「俺、長距離得意だから。」




男友達が不安げに祐月に相談するけど、祐月は自信満々そう。

ご機嫌そうだな…。


そう。祐月は、長距離がすごく得意なの。

もちろん短距離もすごく速いんだけど、体力配分ができる頭と、底なしの体力を持っているから、長距離が得意なんだって。

運動神経抜群なところも、祐月のカッコいいところの一つだ。




「最初は男子からなー」



体育教師の掛け声で、祐月の記録用紙を受け取る。



「頼んだよ、桜楽」



楽しげにニッと笑って、祐月はスタートラインの方に駆けていく。

体育委員が、声をかける。



「位置についてー」



祐月は左足を後ろに引き、スタートを待つ。

スタートピストルの空気を裂くような音が鳴り響いた。

それと同時に、男子が一斉に走り出す。

祐月はスタート位置が後ろの方だったけど、後ろにいたのはほんのわずか。

華麗なフォームで、次々と男の子を抜かしていく。




「すご、祐月のごぼう抜き!」

「さすが〜」




女の子たちがどよめく。

やっぱ、祐月はすごいんだな…!