って、あ。

おまじないのこと、忘れるところだった!

祐月は、私をじっと見ている。

ちょっとだけ緊張するけど、私は意を決して、祐月の胸元に頭を近づける。

そして、祐月の学ランの第二ボタンにおでこをくっつけた。




「っ、え、桜楽?」




祐月の動揺した声が聞こえて、祐月の照れ顔がたやすく想像できた。

これが、私の見つけた「おまじない」。


-好きな相手の第二ボタンにおでこをくっつけて、 
 「私を好きになって」と心のなかで三回唱える-


学ランの第二ボタンは、「大切な人」っていう意味があるんだって。

だから、好きな人に好きだと伝えるために第二ボタンを送るっていう由来にもなったらしい!


私は昨日見た内容の通りに、心の中で「私を好きになって」と唱えた。

私が彼の胸から頭を離すと、祐月は予想以上に真っ赤になっていた。

ゆでダコっていうより…もはや熟れたイチゴのような赤さ。

0距離は日常だろうに…。




「おま、え、何して…?」



えーっと、どうやって答えよう…。

私は唇に人差し指を当てて考える。

ここは正直でいっか!




「おまじないっ!」



私がそう答えると、結月は顔を真っ赤にしながら首を傾げた。

ふふふ。可愛い。

だけど、祐月が照れているところはレアだから、見れてよかった。

もしかしたら、おまじないも効果あるかも!


卒業式…。

まだまだ遠いけど、いつか、その日が来たら。

貰えるといいな。

祐月の第二ボタン。