「あ」




そこにいたのは、予想通りの人物だった。




「流空」



流空は私を見つけると、すぐに寄ってきた。



「桜楽。今日一緒に帰れない?」




そう言って小首をかしげる流空は、一言で言うと、あざとい。

まったく、もう…。

流空は小悪魔なんだから…。



他の女の子もこうやって魅了されてないといいけど…。

こうやっておねだりしてきちゃうから、流空のお願いって断れないんだよね。


いっつも、なんだかんだ言ってOK出している気がする。


でも、このお誘いは断る理由はない。

流空と話すのは楽しいし…昨日のこと、きちんと話さないといけないから。

流空は私の友達だし、そういう不誠実なことは避けたい。




「うん、いいよ。今日も一緒に帰ろっか。」




流空は、私の言葉に嬉しそうに笑うと、「じゃあねっ!」と言って、教室に帰ってしまった。

もう…元気なんだからなぁ…。