「付き合う気は、ないんだよ」
どこか諦めたような口調で流空が言う。
「そ・れ・で!」
急に話を変える流空。
「約束の条件!当然覚えてるよね?」
流空の笑顔が、ニヤリと獰猛な表情に変わる。
条件。それには心当たりがある。
好きな人を言ったら、私の好きな人も教えるっていう…。
まだ誰にも言ったこと無いし…なんとかはぐらかせないかな…?
今度は私が質問攻めに合う番だと察して、必死で頭を回転させる。
「なぁ…」
そう流空が言いかけた瞬間、私の家の方へと繋がる信号が青に変わった。
もうここからは道が違うから、追求されずに済む!
「あっ、じゃあね、流空!また明日!」
私は急いで横断歩道を駆け抜け、帰路につく。
ふうっ。今回はなんとかなったけど、もう誤魔化せないかな…。
私は空を仰いで、深いため息を付いた。