そして、目をつむって、何かを覚悟したようにゆっくりと口を開く。
「…桜楽だよ、好きな人」
え?
あまりにも唐突だったので、私は固まってしまった。
思考停止。頭は真っ白。
「へっ?」
口に出たのはそれだけだった。
「あーもう。これだから嫌なんだよ。怖いくらい無自覚なんだから…」
「ご、ごめん?」
声がうわずって自然と疑問形になってしまう。
「えーっと…冗談?」
「いや冗談でこんな事言うやつ居ないだろ!」
せめてもと思って縋ったのはあっという間に消え去ってしまった。
こっ…これが噂に聞く、三角関係…?
祐月が好きだけど…でも、叶うわけない片思いだし…。
それより好きって言ってくれた流空のほうが…?