祐月も怒っている様子はなくて、ほっと息を吐く。



「桜楽が可愛いのはしょうがないし…。次、勝負するときはもっとコテンパンにするけど、それでもいいなら」

「次は俺が勝つからいい!」



まるで兄弟のようなやりとりに、ちょっと微笑ましくなったのは秘密。



「俺には桜楽がいるから。コテンパンなんて夢の夢だ!」

「お前がそんなこと言うのは100年早い!」



じゃれ合うように喧嘩する二人。


何事かと周囲が騒ぎ出してしまったので、慌てて私は二人を止めに入った。


* * *