「ど、どうしたの流空⁉別に大丈夫だよ⁉」



「いきなり無茶苦茶な要求で勝負し始めて…その上で負けて…すごくみっともないと思ってる。本当にごめん、桜楽、祐月。」




流空…。

たしかに最初は無茶苦茶だと思ったけど、楽しい体育祭になったし。

流空だって頑張って、中盤は圧勝してたんだから、みっともないとは思わない。


私はそっと流空の前にしゃがんで流空と目を合わせる。


目がほんのり赤くなっていて、泣いたんだろうなと察することができた。



「別に、怒ってないから大丈夫だよ、流空。」




祐月も、私の隣にしゃがんで、流空の頭を撫でる。



「俺にも思うところはあったし、流空の言ってることは理にかなってた。
それに、桜楽が取ってくれた点がなければ、俺たちは負けてた。
桜楽がもし1000mで二位になっていたら、赤団の勝ちだった」



俺が勝てたのは、桜楽のおかげ。

そう言って微笑む祐月。


彼の優しい表情を見て、流空はポロポロと涙をこぼす。